2020年はコロナ禍の影響により、映像業界も変化を強いられることになりました。
メルマガの今月のテーマである「ライブ配信」への対応も、その変化の一つに挙げられるでしょう。
「日経ビジネス:Raiseライブ」撮影:Dream Movie
セミナーや社員教育研修など、オーディエンスが一箇所に集合し受講するイベントや研修会は、緊急事態宣言前後で、感染防止のための“三密回避”という号令のもと、軒並み中止を余儀なくされました。
教育コンテンツとして一定の映像制作の需要がある、こういった集合研修の撮影はかなりの向かい風にさらされたと思われます。
当社でもそのような動画制作のご依頼は、従来常時ご対応させていただいておりましたが、
2~3月から延期あるいは中止という状態が続きました。
最も打撃を受けたのはイベントの場所を提供していた、セミナー会場運営の業者さまであろうことは想像に難くないと思います。人が集合することを禁じられれば、会場運営にとっては為す術もないところです。
もちろんイベントを運営する当事者の方たちも頭を抱えたことでしょう。当初は中止・延期という対応をする他ないということで、不測の事態に対処していたように感じられました。
そこで脚光を浴びたのがテレビ会議システムの活用ということになります。2007年頃から「Ustream」や「ニコニコ生放送」、スマホが大きく普及し始めた2010年以降は、「ツイキャス」や「You Tube Live」がライブ配信の需要に応えています。思い起こせば、コロナ禍以前では、ライブ配信というものがコンシューマーのところまで降りてきていなかったように思います。配信は特別なものという認識が一般的だったのではないでしょうか。
そしてコロナの功罪はありますが、2020年は「Zoom」に代表されるWEBミーティング用のサービスを、ライブ配信に活用することが注目されたわけです。“ウェビナー”が本格化した始まりの年と言えるでしょう。
「Zoomビデオコミュニケーションズ」は設立が2011年と、実は10年近くの歴史を持つWEB会議システムの雄なのですね。恐らくコロナ以前にZoomを利用していた方はそれほどいないのではないかと思います。個人的にもテレビ会議とは縁遠く、PCのWEBカムもほとんど稼働させたことがないという状況でした。
ライブ配信とテレビ会議システムが結びつくとは、私の認識の範囲にはなかったというのが正直なところです。
現在では、Zoomミーティングや企業さまが導入されているCiscoシステムズのテレビ会議システム、マイクロソフトTeamsなどが皆さま方の会議や商談に活用されているのではないでしょうか。
そしてここからは、我々映像業界に携わるものにも大きく関わって来ています。
これらのサービスはテレビ会議用のシステムがその成り立ちではあるのですが、“Zoomウェビナー”に代表されるように、多くのリモート参加者を集めたセミナーや研修会に活用されています。
とても興味深く、今後の可能性を示唆する出来事がありました。
それは、当社のお客さまからお聞きしたのですが、従来の集合研修は50~100名ほどの参加だったものが、いきなり1,000名になったというお話です。
リアルな会場集合型の集客は、30~50名くらい、多くても300~500名というところだと思いますが、このウェビナー型のリモート参加だと、ある意味、無限大の集客が可能だということです。
人気バンド/サザンオールスターズが、コロナ禍の2020年6月25日夜、横浜アリーナでバンド史上初となる無観客の配信ライブを開きました。8つの動画配信サービスを通じて有料配信され、3,600円のチケット購入者は約18万人、総視聴者数は推定約50万人だった(日本経済新聞2020年6月25日)そうです。
横浜アリーナの最大収容者数は17,000人だそうですから、仮に平均5,000円の入場料で満席になったとしたら、8,500万円。
上記のイベントは、3,600円のチケットを約18万人が購入で、約6.5億円。
リアルだと、同規模のものを7~8回行うレベルになります。
リアルと配信を簡単に比較はできませんし、日本を代表する人気バンドですから、特別であることは間違いありません。
しかし、当社のお客さまからお聞きした、ライブ配信での視聴者数が、リアル研修の10~20倍になったというお話は説得力があります。
上記のようなサービスを活用してすでにウェビナーを行っている方、これからトライしてみたいとお考えの方、どちらが多いのでしょう? … 研修会を運営される担当者の方でしたら、すでにトライをされているでしょう。
終息の見えないコロナ禍の状況を鑑みて、ウェビナーへのトライを検討し始めた方も多くいらっしゃると思います。
2020年を境に、集合研修はその運営方法が多様化されていくことでしょう。
リアルと配信は、まさにニューノーマルと言える新しい常態・常識になっていくと実感しています。
これからの新様式に対応すべく動き出したウェビナー。
次号は、「ウェビナーに興味のある方」へ少しでもご参考になるよう、当社の配信業務の一部について、機材を中心にお話しいたします。
最後までお読みいただきまして、ありがとうございました。