今週のドリームムービー通信では、
「映像を現像しよう!(RAWファイルとグレーディング)」と題して、
映像におけるRAW(ロウ)ファイルでの撮影と現像(グレーディング)についてご紹介致します。
まずはこちらの「撮影時」と「現像/グレーディング後」の比較動画をご覧ください。
色彩とコントラストの薄い映像が「撮影時」の状態で、
色彩と映像の濃淡がはっきりした映像が「現像/グレーディング後」のものとなります。
撮影時に映像の色や濃淡を確定させるのではなく、
現像/グレーディングという作業を通して、より相応しい形で映像として表現する。
RAWファイルというフォーマットで記録することによって、そのようなことが可能になります。
現像/グレーディングとは?
写真を撮られる方にとって「現像」という言葉は耳馴染みのあるものではないでしょうか。
フィルムカメラを使った写真制作の過程には「フィルム現像」と「印画紙現像」があり、
デジタルでの写真制作においても「RAW現像」という言葉で認識されている作業があります。
映像の制作においても、一般的には「グレーディング」と呼ばれる同様の作業が存在しています。
いずれも今日的な意味合いでは、撮影された光学的な情報を撮影時に決定するのではなく、
後々の編集作業を通して、より相応しい形で写真/映像として表現するための画像/映像処理と考えることが出来ると思います。
RAWファイルについて
デジタルカメラでの撮影を例に挙げて説明しますと、
一般的なJPEGファイルで画像を記録することが、撮影時にファインダーや液晶で見たままを記録して、
画像をその場で決定してしまうことを意味する一方で、
RAWファイル(ロウ、英語で「生」「未加工」の意)での撮影は、より多くの光学的な情報(より多くの選択肢)を記録して、
後々の現像作業で明暗や色の調子を選択して画像を決定することになります。
「その場で決めるか、あとからじっくり作って決めるか。」
そのような言い方も出来るかもしれません。
もちろんJPEGで撮影された写真も後から編集をすることは可能ですが、一度決定された撮影条件の中での編集になるため、
より多くの選択肢を含んだままのRAWファイルでの編集と比較すると、その効果は限定的なものにならざるを得ません。
そのような理由から写真の制作現場では、RAWファイルで撮影の後に現像・編集の作業を経て写真を仕上げることがスタンダードとなっています。
映像制作におけるRAWファイルの活用
映像制作の場面においても、この数年来データサイズの小さなRAWファイルの開発が進み、
映画のように綿密なカラー設計を目的とする映像だけではなく、
規模の小さな様々な映像制作の現場でもRAWファイルでの撮影が用いられるようになってきました。
写真におけるRAWファイル現像の役割のように、今後映像制作においても、
RAWファイルでの撮影とグレーディングがスタンダードになってくるのかもしれません。
ビジネスコンテンツにおけるインタビュー等の人物撮影でも、
RAWファイルからグレーディングを行うと、シネマのようなとても印象的な仕上がりが可能になります。
当社で使用するシネマカメラでも、RAWファイルでの撮影からグレーディングに対応しておりますので、
コンテンツ制作の際はぜひご検討いただければと思います。
どうぞよろしくお願い致します。