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「プロフェショナル仕事の流儀~庵野秀明スペシャル~」とドキュメンタリー番組の楽しみ方【ドリームムービー通信:第155号】

皆さんは「ドキュメンタリー番組」はお好きですか?私は大好きです!
様々な人生における成功、挫折、社会的課題などを扱う番組で、昔から人気のコンテンツです。

皆さんは「ドキュメンタリー番組」にどういったイメージをお持ちでしょうか?

お堅いイメージ?
おじさま向け?
…やらせ問題?

個人的には「ドキュメンタリー番組」は過去に制作の経験もあるため思い入れが深く、いつも楽しんで視聴しています。

そこで今回は、先日NHKで放送され大きな反響があった「プロフェショナル仕事の流儀~庵野秀明スペシャル~」を題材に「ドキュメンタリー番組」の楽しみ方について次の4つのテーマに沿って皆さまと一緒に考えてみたいと思います。

1.「プロフェショナル仕事の流儀~庵野秀明スペシャル~」
2.実は沢山あるドキュメンタリー番組
3.ドキュメンタリーとドキュメントの違いって?
4.ドキュメンタリー番組の演出

1.「プロフェショナル仕事の流儀~庵野秀明スペシャル~」

先日放送され大きな話題を呼んだ、庵野秀明監督を密着した「プロフェッショナル仕事の流儀」はご覧になった方も多いのではないでしょうか?

https://www.nhk.jp/p/professional/ts/8X88ZVMGV5/episode/te/YV62MRRW35/

番組の内容は「シン・エヴァンゲリオン劇場版」の制作過程に密着した番組でした。
通常「プロフェッショナル仕事の流儀」での密着は40日を目途に制作されていますが、今回は映画の度重なる公開延期もあり、番組史上最大の4年間の密着ということもあって、大きな反響がありました。

しかし庵野監督ご本人は「もっといいシーン、これ撮っとけばいいのに、というのが現場でたくさんあった。いい所に来てなかったんですよ」と映画の舞台挨拶で触れていましたし、

番組本編でもNHKのスタッフに対して、取材方針にダメ出しをされる場面がありました。

2.実はたくさんあるドキュメンタリー番組

今回取り上げた「プロフェッショナル仕事の流儀」をはじめ「プロジェクトX」「ザ・ノンフィクション」「情熱大陸」「バースデイ」「ガイアの夜明け」…過去に放送されたていた名作「CBSドキュメント」なども。
近年ではバラエティー色の強い「家、ついて行ってイイですか?」なども人気です。

これらは、歴史的事実を基にしたもの、企業のプロジェクトを追ったもの、著名人に長期間密着したもの、様々です。
いずれにしても「基本的には」事実をもとに構成されています。

3.ドキュメンタリーとドキュメントの違いって?

ドキュメンタリーは事実を基に、制作者の意図(主観)が色濃く反映され、作品として制作されます。
対してドキュメントは記録であり、情報であると言え、「ドキュメンタリー番組」とは、史実や記録に基づいた実話に、演出を加えた番組であると言えます。
だからといって、事実と異なったものを制作することがあってはならないと思います。

※記録とドキュメンタリーについては、メルマガ133号「一つのコンテンツを掘り下げる!スタッフはどう捉えたか!①リュミエール編」も是非ご覧ください。

「一つのコンテンツを掘り下げる!スタッフはどう捉えたか!①リュミエール編」【ドリームムービー通信:第131号】

4.ドキュメンタリー番組の演出

例えば庵野監督を4年間にわたって密着した記録をそのまま放送しても、視聴者に伝えたいことの焦点は定まりませんし、そもそも4年間分の動画をすべて視聴するのは不可能です。
だからこそ、庵野監督のどこを、何を伝えるべきか、制作者の想いを演出する必要があります。
そしてこの演出、編集によって伝えることこそ、視聴者の印象も大きく左右するのです。
例えば撮影素材の順番を入れ替えることだけでも、事実とは異なる印象を受けることがしばしばあります。

今回の番組の感想ツイートでは、「シン・エヴァンゲリオン劇場版」は、絵コンテを作らない方式で作られたと誤解されている方もいました。

実際には従来のアニメの制作工程に、新たな取り組み「プレヴィズ」が導入され、絵コンテも作られていました。
※「プレヴィズ」は、従来の「絵コンテ」作成の前に「ビデオコンテ」を作ることによってよりイメージを明確にし、絵コンテでは限界のある新たなアングルやカット割りを発見する目的があります。

番組ではそのあたりの取材シーンがカットされていたこともあり、「シン・エヴァ」=「絵コンテなし」というイメージを一部で持たれてしまったのではないでしょうか?

個人的には今回の「プロフェショナル仕事の流儀~庵野秀明スペシャル~」はドキュメンタリーとして優れた作品だったと思います。
概ね事実をうまく切り取っていたと感じましたし、庵野監督の人間的魅力と混乱する制作現場のコントラストがよく出ていたと思います。

今回の番組は、庵野監督の舞台挨拶での言葉からも分かるように、制作サイドの主題(庵野監督の魅力伝えたい)と取材される側の主題(映画の魅力を伝えたい)にズレがあったのだと思います。
しかしこのズレも作品として表現されていたことが、大きな反響につながったのではないでしょうか?

いかがだったでしょうか?今回は「プロフェッショナル仕事の流儀~庵野秀明スペシャル」をテーマに「ドキュメンタリー番組とは」をお伝えしました。

次回は「ドキュメンタリー番組の裏側」をテーマにお届けします。
お楽しみに。

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