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「映像のミエカタDIY #20:サッカーを『競技』から『物語』へと捉え直す (2)」【ドリームムービー通信:235号】

「映像のミエカタDIY」は、当たり前のものとして受け取っている映像の効果について、身近な素材を取り上げながら、改めてその面白さを確認していくシリーズです。今回も「2022 FIFAワールドカップ」の開催期間にあわせて、サッカーを「競技」から「物語」へ捉え直すと題して、サッカーについてのドキュメンタリー表現を紹介します。

前回でも取り上げたように、サッカーにおけるチームを対象として取り上げたドキュメンタリーが、試合と試合の間にあるものを積極的に取り上げることで、サッカーを「競技」から「物語」へと捉え直してより多くの人が共有することを可能なものにしました。

前回紹介した日本代表のTeam Camは、ワールドカップに参加中の日本代表の姿を速報性を重視するスタイルで伝えるドキュメンタリーコンテンツでした。今回取り上げるAmazon制作の『オール・オア・ナッシング アーセナルの再起』はそれとは対照的なスタイルで制作されたコンテンツです。1シーズンを通して行われた撮影と優れた編集によって表現された物語は、クラブの過ごしたシーズンについて人々の受け取り方までも変えてしまうような影響力がありました。

『オール・オア・ナッシング アーセナルの再起』とは

『オール・オア・ナッシング』はAmazon が制作するスポーツドキュメンタリーです。様々なプロスポーツチームやナショナルチームにシーズンを通して密着し作り上げる大人気のドキュメンタリーコンテンツです。これまでもイングランド・プレミアリーグのチームでは、マンチェスター・シティとトッテナムが取り上げられており、アーセナルが3チーム目となります。

今作では『オール・オア・ナッシング アーセナルの再起』というタイトルにも現れているように、近年低迷していたチーム状況の中、アルテタ監督が若い選手たちを率いて激しいアップダウンを経験しながら戦った2021-2022シーズンの様子が8つのエピソードで詳細に描かれ、2022-2023シーズン開幕直前にコンテンツが配信プラットフォームで公開されました。

 

物語によってチームの見え方が変わる

アーセナルの2021-2022シーズンには様々な出来事がありました。シーズン序盤の大不振とその後の新加入選手の活躍による巻き返し、そしてシーズン後半の失速により目標としていたヨーロッパチャンピオンズリーグへの出場権獲得の失敗。

中でも、規律違反を理由としたベテランの中心選手への厳しい処罰とシーズン途中での契約解除については、当時大きなニュースとなりました。クラブからのリリースや会見からの情報は限られ、憶測も含まれた形でサポーターからも監督の決断に対して受け止め方が分かれるような難しい状況が発生していました。

『オール・オア・ナッシング アーセナルの再起』ではそういった出来事についてもしっかりと触れられており、シーズン中に受けたものとは異なる印象や理解をサポーターや視聴者に与えるきっかけとなったのは大変興味深いところです。

また、一時は次シーズンのチャンピオンズリーグの出場権も可能な順位に位置しながら、最終的には5位でフィニッシュしたことで問われた監督の手腕についても、このドキュメンタリーの公開によりサポーターから評価は大きく異なるものになりました。シーズンを通してのアルテタ監督の仕事への情熱や継続性、そしてクラブ自体がポテンシャルを秘めた若い選手を中心としたチームへの移行期であることを新シーズンを迎える前に提示することで、結果的にクラブはサポーターからの熱狂的な支持を得た状態で開幕を迎えることになりました。

これはシーズン中に速報性を重視して制作されるドキュメンタリーではなく、シーズンを物語として丸ごと編み直す『オール・オア・ナッシング』の方法でこそ起きた現象ではないでしょうか。開幕後も好調を保ち、ワールドカップによる中断期間を首位で迎えるなど、ドキュメンタリーの中でも感じられた飛躍の予感が実現してくのを目の当たりにすると、単純に昨シーズンの模様をまとめたドキュメンタリーというよりも、来たるシーズンに向けて過去の出来事を現在へとつなぐために編まれた物語とも言えることができるのかもしれません。

今回は『オール・オア・ナッシング アーセナルの再起』について紹介いたしました。『オール・オア・ナッシング』の新作は、なんと今回のワールドカップへ参加したドイツ代表チームが取り上げられるとのこと。クラブチームとは全く違う組織であるナショナルチームについて、そしてワールドカップでは難しい時間を過ごすことになったドイツ代表の活動がどのように捉え直されて物語として姿を現すのか大変興味深いところです。(了)

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