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「ビデオカメラ、映像形態の変貌について(前半)」 【ドリームムービー通信:第119号】

いつもお読みいただき、ありがとうございます。
8月は伊藤が担当させていただきます。

今回のテーマは基本に戻って、ビデオカメラ、映像についてです。
マニアックで技術的な話にならないように気をつけながら書いてみます。

ビデオカメラのお話の前に、ビデオデッキのことに少しふれておきます。
ビデオというとまず思い浮かぶのはVHSでしょうか?

自分は中学校時代(歳がバレますが)友達の家で初めてVHSのデッキを見たとき、衝撃を受けました。

上面からガチャンと大きいテープを入れて再生を押すと見逃したテレビ番組がいつでも見られるなんて本当にビックリしました。
今では考えられませんが、テレビは観たい番組の放送時間に合わせて、テレビの前に座っていなければならない時代だったのです。

番組を録るとしたらカセットテープデッキに音だけ録音するくらいでした。
しかもカセットデッキに付いているマイクで録音していたので、家族の話し声も入ってしまって、録音した番組を聞くたびその話し声まで聞く羽目に・・・

うちでは姉が面白がって、わざと話しかけたりして、よくケンカになりました。
再生すると、そのケンカがバッチリ録音されていて後で聞くと、それはそれで面白かった記憶があります(笑)

ということで、家庭用ビデオデッキが普及し映像が一般の人でも扱えるようになった節目だったと思います。
テレビの放送局でしかできなかった事が家庭でできるという事、それに伴い映像というものがより身近になっていったと思います。

そしてビデオカメラですが、VHSのビデオカメラってあんまり普及しなかった記憶があります。

実はプロビデオ業界を席巻していたのはなんとあのSonyのβ(ベータ)なのです。

家庭用ではVHSとβとの戦争で見事に敗北したSonyのβですが、映像プロ機材においては圧倒的なシェアを誇っていました。
今考えるとテープ自体の大きさがちょうどよかったのかもしれません。

あと業務用カメラは主にSonyが作っていたことも一因かもしれません。

当初は業務用βカムのデッキは大きく重いものでした。

屋外での撮影の際にはビデオカメラ(ビデオデッキはついていない)を持ったカメラマンと重たいビデオデッキを担いだVE(ビデオエンジニア)さんがケーブルを繋いで撮影録画してたのです。

しかも音声はビデオデッキにしか収録できないので、重たいビデオデッキを担いでいるVEさんがマイクまで持って音声調整までしていたという。大変な重労働だったようです。

その後、流石にこれは大変だし機動力もないという事で各社ビデオカメラとビデオデッキを一体にしたものが出回りました。
(今度はカメラマンが重くなるのですが、デッキを担いでいたVEさんはロケ現場では主に音声調整を担当することとなりました。)

カメラとビデオデッキの一体型を指す「カムコーダ」という名前は当時よく使われましたが、現在はほとんど使われないですね。
ほとんどのビデオカメラが一体型というのが標準となっているという事でしょうね。

当時私がこの業界に入った頃のβカムの一体型ビデオカメラは10キロ近くあったかと思います。
バッテリーも大きく重いものでしたので、1日担いでいたら肩がパンパンになりました。

その後はどこの世界でも共通な小型軽量化とデジタル化に進みます。
記録媒体は、やはりソニーが強くHi8、DV、HDV、HDcam等で業界スタンダードとなりました。

パナソニックも長野オリンピックを契機にDVCプロという記録媒体で攻勢に出ましたがなかなかソニーの牙城は崩せなかったイメージがあります。

その後、映像業界はテレビの地デジ化に伴いハイビジョン化への変貌を迫られます。
この変貌は映像制作会社にとっては、今まで使っていた機器が全て使えなくなるという大革命となったのです。

ちょっと長くなってきましたので続きは次号へ

次号は「ビデオカメラのHD化」と「テープからフラッシュメディアの時代へ」です。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。
次号もどうぞよろしくお願いいたします。

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