【ドリームムービー通信】をいつもお読みいただきありがとうございます。
スタッフのフジムラです。
今週から「社会の課題と出会う旅へ」と称して現代アートの国際展を紹介してまいります。
ドイツのカッセルで5年に一度開かれる「ドクメンタ」、同じくドイツのミュンスターで10年に一度開かれる「ミュンスター彫刻プロジェクト」。
そして、国内で開かれる国際展についても触れる予定です。
昨今ビジネスの場面では社会課題への取り組みがより強く意識されるようになり、社会課題の解決を掲げる新しい事業が注目を集めています。
他方、現代アートの国際展は今まさに世界とそこに生きる個人が直面する問題との出会いの場所としての側面を強めているように思えます。
そこでは日常生活に可視化されないまま存在している問題が、アーティストの意識や作品、展覧会を形作るキュレーションにより姿形を与えられ提示されています。
つまり、現代アートの国際展の会場で私たちが目の当たりにするものは「課題の解決方法」というよりも、観客として足を運んだ私たちが当事者である「課題の見つけ方」という言い方が出来るのかもしれません。
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今週と来週の2回に渡りドイツのカッセルで5年に1度開催されている現代アートの国際展「ドクメンタ」を取り上げてまいります。
2017年に行われたドクメンタ14が向かい合うこととなった社会課題とは一体どのようなものだったのでしょうか。
【ドクメンタとは】
ドクメンタはドイツのヘッセン州にあるカッセルで1955年以来、5年に一度のペースで行われている現代アートの国際展です。
6月から9月の間の100日間でカッセル市内の複数の会場で展示が開かれ、会期中には100万人近くの観覧者が世界中から訪れています。
第5回以降は毎回ディレクター(芸術監督)が変わり、テーマや作家選定はディレクター個人に一任されています。
展覧会ごとに賛否や様々な議論が起こるなど、世界の現代アートのシーンに与える影響はとても大きく、世界の数ある展覧会の中でもイタリアのヴェネツィアで2年に一度開催されるヴェネツィア・ビエンナーレと並ぶ重要な展覧会の一つとされています。
2017年に第14回の展覧会が開催され、次回は2022年に開催が予定されています。
ドクメンタ14展示風景@ドクメンタ・ハレ:筆者撮影
ドクメンタ14展示風景@フリードリッヒ広場:筆者撮影
【ドクメンタ14に見る社会課題】
2017年のドクメンタ14は「Learning from Athens(アテネから学べ)」というテーマを掲げてコンサートや上映会、朗読会、ディスカッション、そして作品の展覧会と様々な形式を含む形で、通例となっていたカッセルでの100日間の展示に先行する形でアテネでの63日間を合わせて163日間の展示が行われ、合計の観覧者数が100万人を超えました。
「アテネから学べ」というテーマの背景にはギリシアをはじめ、スペイン、イタリア、そしてポルトガルなど、ヨーロッパの南が抱えているEUを南北に分断しかねない財政危機の問題、それに伴う民主主義運動の数々、そして移民の問題などを挙げることが可能です。
実際に展覧会を訪れた経験を振り返ると、その中でも移民の問題について考えさせられたことを思い出します。
直近の世界的な移民の問題に限らず、歴史上絶え間なく繰り返し行われてきた、望むもの/望まないものを含めた移動について、自分自身が東アジアからの来訪者という移動する当事者の感覚を持ちながら出会った作品の数々はとても印象に残るものでした。
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来週は、実際にドクメンタ14に足を運んだ中で印象に残った2つの作品、アテネ出身の作家Zafos Xagorarisの『The Welcoming Gate(歓迎のゲート)』とナイジェリア出身でアメリカを拠点に活動するOlu Oguibeによる『Monument for strangers and refugees(よそものと難民のための記念碑)』を移民の問題に触れる形で紹介してまいります。
今週も最後までお読みいただきありがとうございました。
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