今回のテーマも「ビデオカメラと一眼カメラの違いや特徴って?」ということで、それぞれの違いや特徴について話しを進めていきます。
改めてビデオカメラと一眼カメラの簡単な定義をしておきます。
「ビデオカメラ」は放送業界で使用するカメラやハンディカムのようなコンシューマー向けも含む、動画撮影に特化したカメラです。
一方「一眼カメラ」はCANON EOS(一眼レフ、ミラーレス)から始まる写真撮影用カメラです。
デジタル化の流れの中で動画撮影にも活用されるようになりました。
前号では、2008年に発売されたCANON EOS 5D Mark2の登場によりスチルカメラの動画撮影活用が本格化し、そして映像業界に少なからず変化をもたらしたというお話しをしました。
今回は、ビデオカメラと一眼カメラの特徴について具体的にお話ししながら、両者の比較をしてみたいと思います。
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まずはそれぞれの違いや特徴について、お願いいたします。
神代:一言でいえば、ビデオカメラは「汎用」一眼ムービーは「表現」でしょうか?
ビデオカメラは、その名の通り動画撮影に特化しているので動画(ビデオ)を撮影するのに細かな設定は、ほぼ不要で失敗の少ない動画が撮影できるのが特徴と言えます。
一方、一眼カメラは本来、写真を撮るカメラですので、動画は二次的な要素が強いと考えられます。
そのため一眼カメラでの動画撮影は、写真撮影以上に細かな設定が必要になりますので、撮影した映像がイメージと異なるという確率は高いかもしれません。
しかし最近は各メーカーも動画撮影に重点を置いていますので、その辺りを考慮し、動画撮影機能が付加されたモデルも数多く出ています。特にパナソニックはそういったニーズをうまく捉えているように思います。
伊藤:ビデオカメラは動画専用機ですが、一眼カメラは写真を撮るのが本来の目的なので、動画は二次的要素という基本的な概念を持っていた方がいいということですね。
しかしCANONはEOS Cシリーズなど、両方の特徴を良いところ取りしているような機種も出していますので、両者の棲み分けも少なくなっているのかもしれません。
今後もしかしたら、その棲み分けも無くなる未来が来るかもしれませんね。
*EOS Cシリーズ:キヤノン・CINEMA EOS SYSTEM:一眼動画のノウハウを動画用にアレンジしたビデオカメラシリーズ
では、現状それぞれの使い分けみたいなことはどうすればいいのでしょうか?
神代:一口に動画と言っても、様々な用途や目的があります。
例えば、機動性を求められる報道などの取材から、長時間のセミナー撮影など安定した撮影を求められる状況では、業務用ビデオカメラが向いています。
それに対して一眼ムービーは、インタビューやミュージックビデオ、再現ドラマなどのじっくり構えた、あえて言うなら「作品」づくりに向いているといえるでしょうか?
また、もう一つの特徴として豊富な種類のレンズに交換できることにより、様々な用途にあった絵作りが可能です。
もちろん、どちらも工夫と技術で置き換えることは可能だと私は思っていますが。
藤村:私は現状ではビデオカメラと一眼カメラの大きな違いはセンサー(銀塩カメラにおけるフィルムに該当する、レンズを通して結像した画像を記録する部分)のサイズの違いと、それに伴う視覚的な効果の違いと認識してもいいかと考えています。つまり、ピントとボケの問題です。
実はビデオカメラでも一眼カメラでも光学的に「フォーカス(ピント)が合う」のは1点(薄い平面→フォーカス面)のみで、厳密にはその前後はフォーカスが外れている状態です。レンズの絞り/アイリスの調整でフォーカス面の幅を調整することにより、フォーカス面の前後まである程度ピントが合っているように見えますが、センサーサイズとそれに伴うレンズの焦点距離の違いで、ビデオカメラ(センサーのサイズが小さい)と一眼カメラ(センサーのサイズが大きい)ではフォーカス面とその前後の見え方は大きく異なっています。
センサーのサイズが小さく、使用するレンズの焦点距離が短い場合は、フォーカス面の前後もピントが合っているように見えます。一方で、センサーサイズが大きく、使用するレンズの焦点距離が長い場合はフォーカス面とその前後では境界がよりはっきりと現れます。
一眼カメラのようにセンサーサイズが大きい場合は、ピント面とフォーカスが外れている箇所(ボケている)の違いが大きく出ることを利用して、より人間の視覚に近い状態の画面を作ることが出来ます。簡単に言いますと、ピントの合う/合わないで画面の中で「カメラが何を映している=何を見ている」のかをよりダイレクトに伝えることが可能です。とりわけ、人物を撮影する場合はその効果が大きくなります。例えば、喋っている人の目や口、手仕事をする際の指先など、注目すべきところをピントとボケの関係で表現することが可能です。
一方でセンサーサイズが小さいビデオカメラはピントの幅を得やすい(ボケが少ない)ので、人物が背後のホワイトボードに文字を書きながら話すような状況ではその両方にフォーカスの合った情報量の高い状態を画面上で作り出すことが出来ます。
もちろん一眼カメラと分類される機材の中でもセンサーサイズの違いは存在していますし、伊藤さんの言うように棲み分けはなくなりつつあります。ただ、上記のようなセンサーサイズやレンズの焦点距離による光学的な効果の違いは、撮影の内容に準じて使い分けていければ良いかと考えています。
荻本:私の場合はそれほど一眼カメラを使用した撮影を行っていないので、詳細な話は前述の通りというところではありますが、メッセージ動画の撮影の際に人物撮影を行ったときには、ピントとボケの効果による人物フォーカスされた映像が撮れたように思いました。ビデオでは感じられない“空気感”が表現できるのが、やはり最大のメリットでしょうね。
伊藤:それぞれにメリットデメリットがあり、お客さまのお望みの形で撮影する感じですね。
サンプルとして同じ撮影物をビデオ(NX5R)と一眼(EOS R)で撮影してみましたので、ぜひご覧いただければと思います。
https://youtu.be/_Sk67hP0YEs
制作:Dream Movie(撮影:神代 秀樹、編集;荻本 貴史)
まとめとして、セミナーなどの長時間撮影や報道取材など、すぐに撮影したい動画はビデオカメラが適している。
それに比べ、人物のポートレートや短いインタビューなど、じっくりと絵作りしたいものは一眼カメラという感じでしょうか。
当社ではどちらも対応可能です。お客さまの、ご要望をお聞きして最適な機材をチョイスさせていただきます。
お気軽にご相談ください。
次回は一般の方が一眼カメラで上手に撮影できるコツをテーマにお話しします。
お楽しみにしてください。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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